現実を拒んでも止まらないから
自分のままでスイッチの切り替えができていれば、自分ではない感覚にならずにすんだのかもしれない。
けれど、あの大学3年の私は、ずっと現状を受け入れようとしないで、しがみついて動こうとしなかった。
“今のまま大人になっちゃいけない。
まだ私は、自分の人生を生きたことがない。”
ただそう強く思うだけで、自分のやりたいことをして生きる道も、思うままに死ぬ道も、なぁなぁにして生きる道も閉ざされていた。
できることなら時間の中に取り残してほしいと思った。
そしてその苦しみを、私は誰かに相談することもできなかった。
子どものころから、人は信じられないものだと、徐々に受け入れてきた。
今でもよく覚えているのは、幼稚園の年長で、友達をケガさせた犯人扱いをうけたとき。
私がそこにいるのに、コソコソと勝手な思い込みの噂をするだけで、私の話を聞こうとしてくれる人は1人もいなかった。
それが人に不信感を抱き、壁をつくることになった原因の1つかと思ってる。
とてもショックだった。
私の周りには、私を勇気づける言葉をかけてくれる人はいなかった。どこにも行き場はなく、不安定だった。
必要とされる人になろうと、誰かの真似や偽りを口にした。
それだから、私ではない私が出てきやすかったのかもしれない。
そんな私だから、人に相談するなんて頭になくて、自分の内側で解決するしかなかった。
それで無意識に、現状を拒み続けるために、自分ではない自分を引き出したのかもしれない。
そうしなくては、まともな人間として維持できなかったから。