優しくしないで。
「ありがとう」
優しい言葉。
優しすぎて、痛い言葉。
胸が苦しくなって、自分の首をしめたくなる。
怖い······
どうして私に優しくするの?
痛い。
やめて、優しくしないで。
私を殺さないで···。
···いつか必ず殺される。
私は生きることを選んだ。
自分で死なないなら、何かに殺されるしかない。
なんだろう···なんでこんな気持ちになるんだろう。
苦しい。
あんなに死にたかったのに、死ぬことが怖い?
···違う。
生きることを選んだ途端に、殺されるような気がして、怖い。
···そうだ···優しさを受け入れた途端に、離れていってしまうんだ。
あの優しさは、いつか消えてしまうものなんだ。
だから、苦しい。
いつだってそうだもの。
私が心を開くと、離れていってしまう。
のこされた私は、1人、ぽかんと立ち止まる。
泣けない虚しさが、少しずつ身体を冷やしていく。
遠ざかる背中が、他の人々と同じになっていくのを眺めながら、浅い呼吸を続ける。
もしかしたら私の思い違いかもしれない。
けれど、私のいないあなたの後ろ姿は、あからさまに楽しそうにしてる。
···私はひとりぼっちにしかなれない。
今まで何度もそうだった。
もう、失いたくない。
どうせなら、何も無いまま、何もせずに失いたい。
努力はしない。
つなぎ止めたくなるから。
···あれ······そっか···
それじゃあ、無理をして相手に合わせなくてもいいんだ。
まじわることなく平行線。
何も失うことはない。
離れるのは、あなたの進む先に私がいないだけのこと。
自分の望む道を行けばいい。
私もそうする。
···それでいい。
···そっか···ーーー。
せめて背中を押そう。
私だって、人に対する愛情がある。
そして私も、私の人生を生きよう。
とにかく、今のバイトは数ヵ月しかいられない。色々やってみる。