あの朝へ〈現在地フリーター〉

フリーター1年目(25歳、女性)による日記。

久しぶりのブログですね

考えなくてもよかった。


仕事をするようになって変化した生活は平凡になり、心を動かすものはなく、何かを考える必要はなくなった。

終わりにしていないブログに、何も書くことはなかった。


平穏。恵まれている。




でも、今日は、陰口を聞いた。

···なんだが寂しくてたまらなくなって、いつもの笑顔が引っ込んでしまった。
聞こえなかったふりをしたかったのに、苦笑いになっていたと思う。


天気が悪いせいかもしれない。

仕事が終わって一人になった途端、涙があふれた。
今日の私は、傷つきやすかった。


ずっとこんな素直に、心の底まで悲しくなることなんて、なかった。


私は悲しみを、忘れていた。



いつもの私だったら、どうだっただろう。

“どこにでもいるんだなー、こーゆー人って”、

“ただ誰かを蹴落として、自分が安心したいだけ”、

“直接言えない小心者。解決する気がない。言える人に甘えてる”、


···そこに、悲しみは、感じていただろうか。




最近の私は感情が薄くなった。

そういえば、空気を読んでない。
その場に流れる感情を感じて、人に流されてばかりだったのに。




書くことがなかったわけじゃなかったんだと思う。


いつの間にか、私が変わっていたんだ。


これから、どうしたらいいだろう···


 

なんでこんな所に帰ってきたんだろう。


バイトからの帰り道、家が見えて、なんだか気持ちがぐにゃっとなった。

「(なんだろう···)」と、そのままに歩いていたら、あの家の中のことを思い出し、立ち止まった。

「(あれが、私の帰る場所なのか···!?
あんな所に帰るって、、え? “帰る”?)」

これが“帰る”って気持ちなはずがない。
あの家に帰っても安らぎはない。
嫌な気持ちになるばかり。

それをさっきまで忘れていたのは、嫌なことを、忘れられるようになったからだろうか。

あの家にいるくらいなら、仕事してる方が良い。


止まってられなくなって、ウロウロしだして、不審人物になっていることに気づき、また立ち止まった。

「···はぁ······(帰りたくない···)」

ため息と、本音が出た。
そわそわしていた気持ちが、しょぼんとして、少し落ち着いた。


このバイトでお金を貯めて、私は、1人暮らしをするんだ。そのための今。

···そんなのでは、納得できなかった。

未来のために今を犠牲にしていいのか。


立ち止まったまま、気持ちだけは急いでいた。

次の1歩を踏み出さなくちゃ。
その1歩は、確実にここから始まる。
帰るために動くわけにはいかなかった。

じりじりと、動けない時間が積み重なる。


「(今立ち止まっているのは、私が、帰りたくないと思っているから。だから、立ち止まっていていい。)」
自分の正直な気持ちを、認めようと、許そうとした。

ここには、私の意思を無視して命令する人はいない。
私が、私の意思のままにいることを、気に食わない人は、いない。

「(大丈夫···大丈夫······)」

···あの家には、いるんだ。



······いらないな、家族、親。
足を突っ込む、足を引っ張る、コントロールしようとする、怒鳴ってばかりで鬱陶しい。

このままだと“やっと死んだ”と思うときが来る。

できれば、もう少し、正常な人間が、親であってほしかった。

···あんなねちねちした所、うんざりだ。

もう、いいよ。
この家から出て行こう。

1人暮らし。
今からやっちゃえばいいんだ。

前向きになれた。今を犠牲にはしない。

私は、あの家から出るために、あの家に行く。

「よしっ」

1歩。

勢いよく歩きだした。




生きることを諦めない


バイトやれてる。


やってよかった。

よくないこともあるけど、そんなことは毎日の働きの中で、どんどん過ぎ去っていく。
1日の終わり、いろんな事を振り返らなくちゃいけないのに、その時間もなく眠りにつく。
日々は過ぎるばかりで、思い出す間もなく新しい1日がやってくる。

忘れてしまう。

でも、確かに、のこってる。


外に出てよかった。


声を出して大笑いする人がいる。
独特なユーモアを言う人や、微笑んで挨拶してくれる人、そわそわしてる人、「食べてね」ってお菓子をくれる人。

色んな人がいる。

たった1人の人が、たくさんいる。


家の中になかったものが、新鮮さを私にもたらしてくれた。

優しさ。
思いやり。
ユーモア。
からかい。

しばらく受け入れられなかった優しさ。
優しくされる覚えはないって感じだったけど、ごく自然のことなんだと気づいた。
皆が優しさを持ってる。

その心を利用して、こき使うような人はいないし、犠牲的な優しさもない。

ここにある優しさは好き。

やんわりとした気分になる。


まるで別の世界のように感じた。

この場だけのお約束。
笑うタイミング。

おもしろい。

生きていながら、生まれ変わったような、別の人生を生きているような気持ちになった。

なんというか、色が違う。
漂う空気がくっきりとしてる。
風が流れてる。


···うれしい。

世界は変わるんだ。変わり続けられる。

1回きりの人生に、私はどれだけの世界にいられるだろうか。

今のバイトは数ヶ月。
ここにいられる私の寿命。

どうか、生きることを諦めないでいたい。

終わりがあることを、忘れずにいたい。



優しくしないで。

「ありがとう」

優しい言葉。
優しすぎて、痛い言葉。
胸が苦しくなって、自分の首をしめたくなる。

怖い······

どうして私に優しくするの?
痛い。
やめて、優しくしないで。

私を殺さないで···。



···いつか必ず殺される。

私は生きることを選んだ。
自分で死なないなら、何かに殺されるしかない。

なんだろう···なんでこんな気持ちになるんだろう。
苦しい。
あんなに死にたかったのに、死ぬことが怖い?

···違う。

生きることを選んだ途端に、殺されるような気がして、怖い。


···そうだ···優しさを受け入れた途端に、離れていってしまうんだ。
あの優しさは、いつか消えてしまうものなんだ。
だから、苦しい。

いつだってそうだもの。
私が心を開くと、離れていってしまう。


のこされた私は、1人、ぽかんと立ち止まる。
泣けない虚しさが、少しずつ身体を冷やしていく。
遠ざかる背中が、他の人々と同じになっていくのを眺めながら、浅い呼吸を続ける。

もしかしたら私の思い違いかもしれない。
けれど、私のいないあなたの後ろ姿は、あからさまに楽しそうにしてる。


···私はひとりぼっちにしかなれない。
今まで何度もそうだった。

もう、失いたくない。
どうせなら、何も無いまま、何もせずに失いたい。
努力はしない。
つなぎ止めたくなるから。


···あれ······そっか···


それじゃあ、無理をして相手に合わせなくてもいいんだ。

まじわることなく平行線。
何も失うことはない。

離れるのは、あなたの進む先に私がいないだけのこと。
自分の望む道を行けばいい。
私もそうする。

···それでいい。


···そっか···ーーー。


せめて背中を押そう。
私だって、人に対する愛情がある。

そして私も、私の人生を生きよう。



とにかく、今のバイトは数ヵ月しかいられない。色々やってみる。



心の中で“ごめんなさい”の独り言

私の中に「ごめんなさい」が何度も鳴る。

土下座をして、相手の足にしがみついて懇願しても、許してもらえないというイメージが浮かぶ。



なんだろう···これは。

どうして許してもらえないんだろう。
···苦しくなる。


誰なんだろう······私のことを、いらないって、遠ざけようとしてる。


私は、それで···

···別にその人に好かれたいとかは思ってない、な。
ただ、許されないと、死ななくちゃいけない存在になってしまうんだ。

だからいつまでも謝り続ける。

絶望しないために。
その場にあり続ける。



···この人は、神様かも。

いや、神様なら許してくれるか···それじゃあ、人々の総意。
私が出来損ないだから?
人間が増えすぎているから?

···無難な親。

「いつまでもそこで泣いてなさい!動くなっ!」
「言う事聞かない子は、あのおじちゃんが鬼の所に連れて行くんだからね!」
「(車から)降りろ!どっか行け!帰ってくんな!」

子どものころのギクッとして、背筋がヒヤッとする感じ、いつまでも覚えてる。
そのときに似てる。



···その人が誰であっても、私は勝手に生きていく。


そう思うことにしよう。
1人で生きていくんだもの。

自分で励まして、自分で泣く。
自給自足をするよ。



···さようなら。
もう謝らない。

私は別の道を行く。
あなたに許された先にはない、別の道を行く。


バイト初日にミスをした···

バイト初日にミス。


目を背けた。
でも、目に入ってくる。
誤魔化しようがない。

しばらくして、謝った。

たぶん見つかったあと。
謝ったときの相手の態度が、すでに知っていたという飲み込みの早さ。


···すぐに謝れなかったぁ······。


初日にやらかす自分に目を背けたかった。
不甲斐なさ、罪悪感、ネガティブな感情を呼び覚ましたら、死にたい私に戻ってしまうんじゃないか。

避けたいことは一瞬でわかる。
そしてその一瞬の判断に、私は従ってしまった。
こうしていつもと同じ失敗を重ねる。


“失敗は成功のもと”なんて思って自分を励まそうとしても、無駄だった。
失敗を受け入れた上で次を求めようとする強さは、孤独な私にはないのだから。


失敗すると、どうしても罪悪感がつきまとう。
これがなかなか消えない。
受け入れ難い重苦しさは、きっと私を潰す。

その感情を拒否しながら私にできることといったら、同じ失敗をしないようにすること、これ以上失敗しないために想定すること。
けれど、この考えは良くない。

大学生の頃の私を思い出す。

失敗しないようにしていたのに、失敗してしまった。なぜかこれが続いて、どんどん神経質に悪い状況を考えるようになってしまった。

しまいには身動きできず、歩く1歩を踏み出すことすら躊躇するようになった。

何もしなければ、何もおこらない。

そこには失敗も成功もない。

なんにもならない。
あの時とまた同じようになっては、生きてきた甲斐がない。

だから私は、この罪悪感を受け入れてみなくちゃいけない。

失敗を恐れないために。

バイト、やることになった。

あらー···

小中高は6、3、3。大学4で、ニート3。
とりあえずニート卒業。
これからフリーター生活。

そういえば今、3月か。
卒業式に歌う歌は、この時期、特別な雰囲気をまとう。

ずいぶんと余裕だな。他人事みたいだ。



···電話、うまく話せなかった。
次はうまくやってやろうと考えるんだけど、分からないからネットで調べる。

こうして生きていくんだなぁ、って思った。
“次はうまくやりたい”なんて、3年前の私は思えなかったから。

ずいぶん前向きになった。

でも、前向き過ぎて自分ではないように感じることもある。

死にたいと思っていたのに、どうして死にたいなんて思っていたのかわからなくなることもある。

自分がよくわからない。


うまくいくといいな···。